cadenceギターのモリです。
令和元年、皆様いかがお過ごしでしょうか。平成とお変わりないでしょうか。
ゴールデンウィークの中日が休日化されたが為に、私は五月病という恐ろしく悲しい概念に囚われて、未だ大型連休の幻想から抜け出せず、亡者化しています。先日、首元にダークリング浮かび上がりました。人間性を捧げよ。(ダークソウルって伝わるのだろうか。)
元号の切り替わりを目の当たりにして、皆様は何を思ったでしょうか。
個人的には平成生まれとしてその時代が去った寂しさと、何となく「自分は物語の主人公ではなかったなぁ」というちょっとした虚無感がありましたが、ここは潔く自分の子供に世代交代したいと思います。
私が平成元年生まれで、令和元年に息子が生まれる。この構図が特別私に世代交代を感じさせた理由かもしれません。
自分自身の生き方を見直す良いきっかけになったのと同時に、時代と血統はこんな風に希望を託されながら移り変わっていくんだなとしみじみ感じた出来事になりました。
一緒に頑張ろう、息子。
大人ってこういうことであっているのでしょうか。未だ良く分かりません。
というわけで、この「2019年cadenceが密かにプッシュするバンド」シリーズも心機一転。過去4回がエモよりなバンドばかりなので、今回はちょっと違う雰囲気のアーティストを推してみたいと思います。前回のYou Blew Itの繋がりで、アメリカはフロリダからのご紹介、時代の移ろいと血統を考えるにはピッタリなこのアーティストです。
Radical Face
エレクトリニカ・ポップユニット「ELECTRIC PRESIDENT」のベン・クーパー氏によるソロプロジェクト「Radical Face」。
自然の雄大さと同時に牧歌的な優しさも感じられる、壮大で美しいサウンドが特徴です。
まずは2007年にリリースされたアルバム「Ghost」から一曲。
一曲の中にしっかりと起承転結があって、曲が進行するに従ってその世界に引き込まれるような魅力があります。各楽器のダイナミクスと澄んだボーカルが本当に心地いいです。
前述の楽曲が収録された「Ghost」というアルバムの後、Radical Faceは2011年~2016年にかけて「家族」をテーマにしたアルバム三部作「The Family Tree」をリリースします。「家族」つまり「血統」です。
三部作「The Family Tree:The Roots」「The Family Tree:The Branches」「The Family Tree:The Leaves」は、1800年から1950年における架空の家系がモチーフになっているそうです。音楽界のジョジョの奇妙な冒険とも呼べる(?)壮大なテーマの作品です。
日本人、「三大○○」とか、「サーガ」とか好きですよね。僕も好きです。中二心をくすぐってワクワクします。また、タイトルが「木」に見立てられているところもかっこいいです。聖剣伝説2のマナの木的な。ドラクエの世界樹的な。
また、「1800年から1950年」という時代設定は、その年代に即した楽器のみを用いて演奏されることで、物語として語られるだけではなくサウンド面においても表現されています。
一作目である「The Family Tree:The Roots」は殆どピアノ、アコースティックギター、打楽器、ボーカルで構成されていますが、物語が進むにつれて使用される他の楽器の数や頻度が増えていきます。時代の流れを作品を跨いだアレンジメントで表現する構成の奥深さも、聴き比べると非常に面白いです。
他にも作品間で似ている部分があったりと、「家族」や「血統」が脈々と引き継がれていく様子を音楽的なあらゆる面で表現したアルバムになっています。
こちらは、最終作「The Family Tree:The Leaves」の1曲目を飾る曲です。静かで美しいコーラスワークから次第に熱を帯びていき、一見矛盾する素朴さと雄大さを持ち合わせたままエンディングを迎える。息を呑む4分30秒、完璧です。
そしてこの三部作はメインストーリー以外にも、ちゃんと(??)サイドストーリー的アルバムがリリースされております。その名も「The Family Tree:The Bastards」。
このアルバムに収録されている曲は、数曲ずつに分けてフリーダウンロードにより公開されていました。「これがフリー!?」って度肝を抜かれる名曲揃いで、フィジカルがリリースされた際は喜んで購入しました。
その中でも、「Volume 2」に収録された「Second Family Portrait」という曲が私のツボ過ぎて。この曲だけは多くの人に聴いて頂きたいです。
晴天の日にこの曲を聴くと涙が溢れます。是非、晴れた日に景色が良いところで聴いてください。
最後に
エモ色のないアーティストを取り上げたつもりですが、Radical Faceはサウンド自体はかなりエモーショナルです。個人的には今までブログで取り上げた中でも一番エモーショナルな気がします。
音楽のジャンルって良くわからんなぁ。令和はジャンル間で抗争のない平和な時代になりますように。
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