cadenceギターのモリです。
コロナ禍で活躍させてあげられていない保有エフェクターたちをブログで紹介するシリーズ第3回は、Walrus Audio “Warhorn”というオーバードライブペダルです。
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立て続けにWalrus Audio製ペダルの紹介です。
前回紹介したWalrus Audioの”Voyager”をゲインブースターに据えて”Warhorn”の前身機種である”Mayflower”をプッシュする使い方が良いと聞くので、敢えて連続して取り上げてみます。(Walrus Audioのせいでペダル沼にハマった節があるので、今後もWalrus Audio率高めです。)
“Voyager”については、コチラのブログ記事で紹介しています。
【レビュー】Walrus Audio “Voyager” ケンタウルス系とも表現されメインもブースターもこなす万能歪みペダル
Walrus Audioとは?
前回記事の復習になりますが、まずはブランドの情報からご紹介します。
Walrus Audioは、アメリカはオクラホマ州のノーマンで活動していたギターサークルから生まれたエフェクターブランドです。
ギターサークルから発足という経歴のブランドですが、サウンドデザインの秀逸さ・技術力の高さの他、デザイン性の高さやデモ映像のオシャレも大きな武器に、勢いよく成長しているエフェクターブランドのようです。本国の公式サイトで紹介されているアーティストも錚々たる顔ぶれです。(公式サイト:https://www.walrusaudio.com/)
きっとマーケティングが上手なんだろうなぁ。凄い。
地味ですが、Walrus Audioのペダルはオンの時のライトが白くて明るくて見やすかったり、エフェクターを入れていける袋が付いてきたりと、サウンド以外にも痒いところに手が届く配慮がされていてとても好感が持てます。
個人的にはThe Beatlesの名曲「I Am The Walrus」を思い起こさせる所も好きなところの一つです。
“Warhorn” レビュー
“Warhorn”は巷で言うトランスペアレント系の歪みペダルです。
まずは、トランスペアレント系について軽く触れておきます。
「トランスペアレント」とは、透明・透き通った、という意味です。
トランスペアレント系のペダルは、例えばTS系のように(私が保有しているのはTube Screamer miniですが)中域をガツっと持ち上げるといった派手な装飾がなく、非常にナチュラルに歪む点が特徴です。
この系統のペダルは、「原音に忠実」なんて言葉で表現されているのを目にすることがあります。
その所以たる音は過度な味付けがないので、アンプで綺麗に音作りできる人にとってはかなり良いエフェクターと言えると思います。
反対にペダルの利用目的が、所謂「JC対策」のように音色を大きくと変えようとするものだとすると、トランスペアレント系のペダル単体では達成できないかもしれません。設定によっては消したい特徴が強調された音になってしまう可能性もあろうかと思います。
なので、使うアンプが場所によって変わってしまう方は、その都度細かく音作りをする必要があるかもしれません。
プリアンプを用意してアンプにリターン刺しすれば、ある程度音作りが安定すると思いますが、オンにしたらいい音がすぐ出てくれるタイプのペダルではない印象です。私には難易度高めです。
あくまで上記は、トランスペアレント系に対する個人的な見解です。
さて、”Warhorn”を鳴らしてサウンドを確認します。
いつも通りフジゲンのNeo Classicシリーズ、シンラインタイプテレキャスターのリアピックアップのシングルコイルとフェンダータイプのアンプシミュレーターを使って、実際に弾いてみました。
何と表現したらうまくお伝えできるか分からないのですが、オンにすると手前に太くなった原音が響いていて奥にきめの細かい歪みの音が重なっているような立体感のあるサウンドになります。
そのため、一音一音がはっきりと鳴っていて音が明瞭に聞こえてきます。
なので、コード弾きしながら小指で抑えた1弦だけポジションチェンジしても、ちゃんと聞き取れます。
オーバードライブって設定をちゃんとしないと高い弦だけ細かく動いても音がお団子状態になってしまって全然聞こえなくなることがありますが、”Warhorn”の歪みは高い弦の動きもクリアに感じられるのです。歪んでいるんだけどサウンドがクリアです。(ギター調律したら、もっと良い鳴りになりそうだなぁ。)
例えるなら、三ツ矢サイダーみたいなイメージ。「ろ過を重ねて磨き抜かれた水で作りました」的な音がします。
そしてコード弾きした時の「ジュワ~」という音が何とも言えません。(伝わるだろうか、「ジュワ~」です。)
例えるなら、三ツ矢サイダーみたいなイメージ。「熱を加えない製法によって爽やかな味わいに仕上げました」的な音がします。
ノブはlevel、drive、bass、trebleの4つです。bass、trebleの2つEQがあるので、かなり汎用的で幅広い音作りができます。
driveは0の状態だと原音が少し太くなってほぼ歪んでいない音になります。強く弾くとほのかに歪んでいるかな?と感じるくらいの歪みです。
Maxにするとそこそこ歪みます。ロックサウンドなら十分カバーできる歪み量が得られます。
公式のデモ動画で、途中からOasisのSupersonicを弾いているのですが、セッティング次第でその位は歪みます。
また、”Warhorn”には各ノブの他にトグルスイッチが搭載されており、このスイッチを使ってクリッピングが対象か非対称かの二種類のサウンドキャラクターを切り替えることができます。
スイッチの上でコンプ感がある音、スイッチの下でより自然な(説明書によると「オープンでオーガニック」な)音が出せます。
説明書きにちゃんと記載されていないのですが、恐らく下が非対称クリッピングの音だと思います。間違っていたらすいません。
このように4つのノブとトグルスイッチによって、多彩な音作りが可能です。逆に私のような音作り下手が弄ると、歪み音色の迷宮にハマります。
個人的に好きなセッティングは、スイッチ下、level 12時、drive 10時、bass 14時、treble 12です。結構cadenceっぽい音になっている気がします。「cadenceっぽい」って言っても誰にも通じないですけどね。
こんな感じのセッティングです。
この時はシングルコイルを使っていたのでbassが高めの設定ですが、ハムの時はbassをもう少し削った方が良いと思います。
また、この後段に他の歪みペダルを組み合わせたりしてました。様々な歪みに相性良く馴染んでくれそうなところも”Warhorn”の良いところですね。色々試していこうと思います。
なお、”Warhorn”はトゥルーバイパスです。
ちなみに、後述の旧代理販売店umbrella companyブログ記事によると、どうやらスイッチの上が前身機種”Mayflower”とほぼ同等の回路のようです。
また、この項の最後に個人的な注意点を備忘録的に書いておきます。大したことではありませんが、念のためです。
トグルスイッチを切り替えるとコンプのかかり具合が変わるので、結構音量差があります。従って、都度levelを調整してあげる必要があります。
上記の理由で”Warhorn”を使う時はlevelノブをよく弄るのですが、スイッチが下(コンプ感が薄い方)の時にlevelノブの効きがやたら良い気がします。
これは、二種類の音色を同じノブで操作するので、ペダルの仕様上、仕方がないことかもしれません。
私の勝手な想像ですが、「リハで設定詰めたのにいつの間にか触れちゃって音量バランスが悪くなってた」なんてことがありそうな予感がします。
何かしらで固定したり、マークを付けてずれたことに気付けるように工夫しておくとトラブルを防ぐ必要がありそうだと考えています。
音色について分かりやすい動画があるのでご紹介致します。
さて、前段でもご紹介した”Voyager”をゲインブースターに据えて”Warhorn”の前身機種である”Mayflower”をプッシュする使い方のサウンドですが、公式のデモ動画でも少しその組み合わせが紹介されています。(2分34秒から10秒程度)
確かに煌びやかさと太さがうまくブレンドされたサウンドですね。
前述の通り、スイッチの上が”Mayflower”とほぼ同等の回路とのことなので、”Warhorn”でも再現できそうです。
また、最近”Warhorn”とWalrus Audioの最新歪みペダル”Ages Five State Overdrive”のコンボペダルが限定発売されました。
“Ages Five State Overdrive”はその名の通り、五種類の歪みを切り替えて使うことができる超万能ペダルです。
“Warhorn”で二つ、”Ages”で五つも歪みの種類が使えます。更に直列の接続順を変えられるスイッチが付いているので組み合わせは更に倍。
音作りの迷宮に迷わす気満々の音色数です。クリスタルスカルの魔宮並みに迷宮ですね。若さの泉をいくら探しても見つからないくらい、歪みの旅が終わらない。
コンボになっていることでパッチケーブル減らせて省スペースになりますし、何よりそれらのノイズ発生が減らせるところも、コンボになっていることのメリットですよね。
“Warhorn”側のクリッピングを選択できるトグルスイッチに「sym(シンメトリー)」「asym(アシンメトリー)」とラベルが付いているところも、分かりやすくなっています。地味な変化ですが、ちゃんと明記されているのは良いと思います。
多分日本の小売店には入ってこないと思うのですが、Reverb.comで個人購入できると思います。日本円で送料込み4万円弱ぐらいだったので、国内で2つ揃えるよりお得です。
レア商品ですし、どちらか片方のペダルを狙っていた人は、買いな限定ペダルですね。
(Reverb.com、日本語対応したし見やすいなぁ。羨ましい、出張手当で買っちゃおうかな。)
製品紹介動画はこちらです。
Walrus Audio内でも様々な歪みペダルとの組み合わせでかっこいいトーンが得られるので、他社製の歪みペダルと組み合わせても面白そうです。
“Warhorn”の裏技?
※この裏技はメーカーが推奨しない利用方法の為、”Warhorn”本体や関連機器が故障する可能性があります。メーカー保証外の故障が発生することが見込まれますので、自己責任で行ってください。
旧代理販売店umbrella companyの記事に何やらすごい記事を見つけました。
何と、”Warhorn”にハイボルテージな電源を刺して利用すると音が良くなると言うのです。
記事の言葉を引用させていただくと『サウンドのスピード感が増し、太さも出ました。ひと粒ひと粒お米が立ってる』とのことです。
これ、故障を考えるとかなり怖いことやってますね。エフェクターに限らず、高い電圧の電源を使うと普通に壊れます。DC電源の場合、センタープラスとセンターマイナスがありますが、それを間違えても壊れます。
この辺のアダプター関係の情報は、サウンドハウスの記事が初心者向けで分かりやすかったりします。(サウンドハウス 電源アダプター特集:https://www.soundhouse.co.jp/material/power-adapter/)
一応記事では旧代理販売店の技術担当者さんがパーツを確認した上でやっているみたいです。
私は電気工学っぽいことは無知なので具体的な説明については全く理解していませんが、ちゃんと論理的に「大丈夫」という結論に至っている様子です。
ただし、現在日本で流通している”Warhorn”に同じパーツが利用されているかは分からないので、トライするのは勇気がいりますね。
ボーナスとか特別な手当が出て臨時お小遣いが貰えたら予備機にもう一台購入して、故障覚悟でやってみようかなって感じです。大打撃ですが超高級ってわけではないので・・・。
試すために、Free The Tone製の12Vアダプター(FA-1220D-JA)を楽天ポイントで買おうかな・・・ちゃんとセンターマイナスですし。期間限定ポイントあるし。
もし試したらここに追記したいと思います。勇気がある方はやってみてはいかがでしょうか。
紹介した記事にも記載されていますが、あくまで自己責任でお願い致します。(繰り返しになりますが、当該記事に紹介された”Warhorn”と現在日本で流通している”Warhorn”が同じパーツで製造されているかは分からないです。)
追記:自分でやってみました。こちらも併せてご覧ください。
最後に
という訳で、Walrus Audioを立て続けにご紹介しました。
私が大学生だったころはあまりトランスペアレント系ペダルって聞かなかった気がします。
ググってみると2013年くらいから流行ったそうですね。PAUL COCHRANE ( ポールコクレーン )というブランドのTimmy Overdriveというペダルが走りだそうです。
私が大学生の頃は、基本BOSSのOD-3 OverDriveとBD-2 Blues Driverを組み合わせるくらいしか選択肢なかったような気がします。金銭的に手が届くODがその位だったというだけかもしれませんが。
ただ、当時全員BOSSコン使っていたし、「BOSSコンは音痩せする」とよく言われていたので、それを嫌ってFulltoneのOCDを使っていました。(でも今思えば音痩せしているのではなくて、BOSSコンがバッファードバイパスでバンドアンサンブル上不要なローをカットしてくれているだけだったように思います。結局BOSSはいつでも優秀なのだ・・・。)
ともかく、そういう音が歪みのイメージだったので、トランスペアレント系のペダルを弾いてみて、「歪んでいるのに濁ってない」音がとても驚きでした。
同時に私にとってはもっと音作りの練習をしなければならないジャンルなように思います。
私は短足なので、到底この沼に足が届きません。
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